様々な言葉が刻印された鍵にチェーンが通されただけというシンプルなデザインながらセレブにも人気の「The Giving Keys」。ロサンゼルスに基盤を置くのネックレスは今やアメリカ中に店舗を構える大型チェーンを始め、400店以上ものギフトショップなどで取り扱われています。発起人はハリウッドの女優さん。
“The Giving Keys” necklaces, whose pendant is a key with an engraved word on the surface, are being sold at more than 400 various gift shops all over the U.S. I’m going to introduce the jewelry brand founded by Caitlin Crosby, who is a singer-songwriter and an actress in Hollywood.
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ただのアクセサリーではない。その鍵に込められたメッセージとは?
先日、いつも通うスタバのレジで見慣れないものを発見しました。
パッケージの中から見える鍵が気になり、調べてみるとどうやらただの鍵ではないようです。
According to “Pay It Forward,” which is the policy of “The Giving Keys,” a purchaser of the product is encouraged to give it to another person who needs it more than the purchaser. We can share stories about it on the official website. On the other hand, the company is making use of the profits for helping homeless people to get jobs and has provided more than 70 job opportunities until now.
この「ザ・ギビングキー」ですが、特筆すべき点は実はこの独特なデザインではなくブランド自体にあります。このブランドのポリシーは「Pay It Forward」(日本語だと「恩送り」)であり、恩を与えてくれた人に返すのではなく他の人へ送ろうという事を意味します。
つまり、このアクセサリーの購入者は自分で使い古すよりも、刻まれたメッセージをより必要としている別の誰かに出会った時にこれをその人へ贈る事が奨励されています。利を一か所に止める事なく巡らせれば、より多くの人が恩恵にあずかれるという考えが根底にあるようです。
Caitlin Crosby also found “LoveYourFlawz”, which is an organization for the purpose of supporting women struggling with their “flaws” regarding their appearance, with Brie Larson. I’m so impressed by her earnest attitude.
なお、贈呈した際のエピソードはブランドの公式ウェブサイトに投稿できるので、様々な心温まる話は共有する事ができます。またこのブランドでは利益をホームレス生活を送る人々の就職支援に活用しており、他団体との協力によりこれまでホームレスの方々に対し70以上もの雇用機会を提供してきたそうです。
設立者はハリウッド女優
この「The Giving Keys」の設立者であり、現在もCEOを務めるCaitlin Crosby(ケイトリン・クロスビー)は、ハリウッドでエンターテイメント産業に従事する両親のもとに生まれ、ビバリーヒルズの高校で演劇を学んだ後、女優としていくつかのテレビ番組や映画に出演し、現在はシンガーソングライターとして率直な想いをのせた歌詞と共に力強い歌声を披露しています。
また彼女は2009年より、映画『Room』(2015)でアカデミー主演女優賞を獲得したBrie Larson (ブリー・ラーソン)と「LoveYourFlawz」という容姿に様々なコンプレックスを持つ女性たちを応援する団体を立ち上げており、こうした社会貢献活動の発案者としても著名です。
ありとあらゆる媒体を通じて自分を表現するだけでなく、社会に蔓延る様々な問題に積極的に目を向け、それを解決すべくゼロから新しく何かを始めようとする彼女の姿勢と行動力には本当に感服です。私も見習わなくてはなりませんね。
I really got moved by the fact that the company was built not for the profits but for social contribution. I could learn a lot of things from her thoughts and spirit. I hope that the profound messages which the necklaces have will prevail all over the world someday.
始まりは宿泊先のホテルの鍵
この鍵をネックレスにするという発想ですが、これはケイトリンが2009年にツアーでニューヨークを訪れた際、利用したホテルの部屋の施錠に実際の鍵が用いられていたそうで、そのアイディアに感化された事に端を発します。
その独自性に着想を得た彼女は、ホテルに滞在している間、紛失防止の目的も含めてその鍵にチェーンをつけて首から下げていたそうです。そしてその後、彼女はありったけの鍵に「Love」「Strength」「Let Go」といった数々の元気の出るキーワードを刻み込み、それをツアーで販売するだけでなく、ガンなどの病気を始め、離縁や失職など様々な理由でもがき苦しんでいる方々へプレゼントし始めました。
そうした試みの背景には、人間は一人一人がこの鍵のようにとても唯一無二のユニークな存在であり、そして誰しもが人生の中で時折こうした励ましの言葉を必要としているという事実を、このネックレスを通して常に心に留めていてもらいたいという彼女の想いがあったようです。簡単なつくりの中には大変奥深いメッセージが込められていたのですね。
とあるホームレスカップルとの出会いが転機に
この鍵型ネックレス「The Giving Keys」が脚光を浴びてきた頃、ケイトリンはハリウッド通りで「Ugly, Broke & Hugry」(みすぼらしくて破産していて、しかも空腹だ)と書かれた板を掲げたホームレスのカップル(RobとCera)に出会います。
そんな彼らを夕食に招待したケイトリンは、Ceraがアクセサリー製作の技術を持っている事を知り、二人を彫刻師として「The Giving Keys」の製作チームのメンバーとして迎え入れたそうです。それまで鍵の専門業者に文字の刻印を委託していた為、ケイトリンにとってもアクセサリー作りに長けたこのカップルは絶好の人材だったのでしょうね。
それにしても、ホームレスの方々を食事を振る舞うだけでなく仕事仲間に誘うとは、誰であろうと分け隔てなく接する彼女の卓越した人柄が窺い知れます。
それからケイトリンは彼らがホテルに宿泊できるほどの資金を集めるべく「The Giving Keys」を様々なお店に持ち込みました。
すると「Fred Segal」という衣料品雑貨セレクトショップの大手チェーンがこの商品の取り扱いに承諾したのを皮切りに、他店でも続々と受け入れられ、2010年にはこのカップルはついにアパートを借りられるほどまで財を成す事に成功したそうです。
ホームレス生活から一転、ケイトリンとの出会いが彼らにとって人生の転機となったわけですね。
経営も軌道に乗り、およそ60箇所の店で商品が取り扱われるようになった「The Giving Keys」は、2012年にはウェブサイトを設立し、一日に15-20件ものインターネット取引も行われるようになりました。
また同年にはケイトリン自身もTED TALKへ出演し、現在ではますます事業を拡大する一方で、先程も言及したブランドの根幹を担う「Pay It Forward」の精神にのっとり、積極的に多くのホームレスの方へフルタイムの仕事を提供するなどして生活に困窮する人々の雇用創出に尽力しています。利益ではなく社会貢献を目的としているブランドなんて、もはや頭が上がりません。
購入はウェブサイトからでも。またカスタマイズも出来ます
現時点(2017年1月)で「The Giving Keys」のネックレスを購入できる店舗としては、アメリカ全土に展開するヨガ教室「Core Power Yoga」や大手デパートチェーン「NORDSTROM」(日本で言うところの丸井やルミネみたいな存在)があります。公式サイトからは彫刻する文字をカスタマイズしてオーダーできるそうです。
また一昨年には、スターバックスの本場シアトルにある試飲室を兼ねた焙煎所内にオープンしたギフトショップにて、それぞれ鍵表面に「Dream」「Inspiration」「Courage」と彫られた三種類のデザインを取り扱い始めたのに続き、現在では通常の店舗(一部の該当店舗のみですが)でもコラボ商品を見かけるようになりました。
とても個性的な製品ながら大変おしゃれな品なので、スターバックスの雰囲気にもばっちり合致していますね。
ちなみにこちらの「The Giving Keys」の商品ですが、日本ですとnano・universeなどで取り扱っているようです(店舗で取り扱っているかは謎ですが、おそらく通販だけかと思われます)。
また、それ以外にもいくつかの通販サイトで販売されているようですので、気になる方はぜひ検索してみてください。
気になるお値段はお一つ小さいもので$30〜と結構いい値段しますね(汗)
それにしても、経済的な面でも役者行だけで食べていくのは至難の技ですが、それ以上に今は役者さんにそれ以上のモノが求められる時代というか、役割があるというか、改めて自身の今後の活動に対して再認識させられる素晴らしいきっかけとなりました。