役者にとってコールバックが大事なたった一つの理由

先日挑んだオーディションですが、ありがたい事に「コールバック」のご連絡をいただいたので、再びハリウッドへとお邪魔してまいりました。
会場は前回と同じ場所だった為、また歩き慣れた道のりを辿って現地へ向かったわけですが、今回は時間帯が異なっておりましたので、また一味違う風景を楽しむと共に、実は私にとってコールバックは初めての経験でしたので、現場の雰囲気をしかとこの身で感じてまいりました。

Call back! It is one of exciting moments for actors, isn’t it?

 

再度お呼び出し!?「コールバック」とは

 

以前の記事にてハリウッドで二つの案件のオーディションを同時に受けた話をさせていただきましたが、先日その内の一方の案件で見事に「Callback(コールバック)」のご連絡をいただだきました。
コールバックは日本で言うと「第二次選考」のようなもので、最初のオーディションに残った有力候補者たちを再度オーディションに呼び、そこからまた選考を行うといった具合です。コールバックの時点で何人に絞られるかは製作側次第ですが、一人しか呼ばない場合ももちろんあります。

 

今回はオーディションの際に会場で見かけた、私と同じ役の候補者であろう方がお一人いらっしゃっていたので、おそらく何人か呼ばれているのだろうなと思います。待合室の中を観察していると、自分と年齢や性別、指定がある際には人種などの見た目に加えて、割かし雰囲気でライバルかどうかがわかってしまうのです。

 

そんなまだまだ可能性が一以下の油断できない状況(もちろん自分一人しか呼ばれていなくても気は抜けませんが)とは言え、それでも当初の同じ土俵から一歩先へ前進できた事に変わりありませんから、実に喜ばしく感じますし気合いの入りようもひとしおです。

 
しかしながら、実は私はこのコールバックが初めての経験でした。基本的に今まで応募したオーディションはコールバックがそもそも無いようなものが多かったのです。

 

コールバックのご連絡をいただいた際は少し緊張しておりました。それと言うのも、コールバックでは最初のオーディションで演じた箇所とは別のシーンを指定されたり、全く別の事を指示されたりする場合もあるぁらです。

 

ですが今回はそんな心配も杞憂に終わり、後から前回と同様のシーンを演じるよう連絡が来たので、非常にほっとしました。しかも私は一週間くらいであれば、一度覚えたセリフが頭に残っているほど記憶力だけは優秀で、今回もばっちり脳がデータ保存をしておいてくれていたので、暗記に対する労力は費やさずに済みました。

 

さらに今回は連絡をいただいたのが二日前でしたので時間にも余裕があり、前日に入念に一連の流れとセリフを確認するなど、切羽詰まった状態での準備にならずに済みました。

 

朝の閑散としたハリウッドと憩いの場スタバ

 

そして緊張と興奮が渦巻く当日、午前8時頃にハリウッドハイランド駅へと降り立った私は意気揚々と会場の「CAZT Studios」まで向かいました。流石に平日の朝早くだけあって観光客の姿はそれほど見られませんでしたが、逆に通勤や通学をされる方々の姿が目立ちました。

 

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ハリウッドハイランド駅の周辺から南へ向かうにつれて、観光地らしく様々なモニュメントや色とりどりの建物でごった返していた風景が、次第に閑散とした街並みへと変わっていきます。朝という時間的な条件もありますが人通りもそれほど見られません。

 

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そして会場付近にあるショッピングモール内のスタバでお待ちかねの朝食をいただきます。本日も大好物のベーグルとクリームチーズをいただきました。
こちらのスタバは席数は他店舗に比べて多い方ですし、店内もそれなりに広々としていますが、トイレが設置されていないのだけが残念なところです。ハリウッド周辺のスタバは本当に厄介ですね。

 

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腹も満たされたところで、いよいよ会場へと向かいます。前回も拝ませていただきましたが、この清々しいほど水色一色の建物を目にすると非常に心が軽くなる気がします。そういう意図が込められているのでしょうか。

 

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緊張する中でのサインイン、落ち着かぬ待合室

 

無事に到着したものの、なぜかサインインの際に該当のプロジェクト名だけクリックできず一瞬焦りましたが、まだ部屋の利用時間になっていなかっただけだ毛でした。
そわそわしながらしばしの間待機し、予定時間の午前10時になった直後にサインインを無事完了。根っからのせっかちなのです。

 

待合室のベンチで壁沿いに立ち並ぶキャスティングルームのドアを眺めていると、私の呼ばれたプロジェクト名を見つけました。まだ製作さん側がいらっしゃってなかったようで室内はがらんどうとしていたので、ちらっと中を覗いてみたところ前回とは違う部屋だったのですが、広さも間取りもまるで同じようでした。

 

もし全ての部屋がこんな感じならば、目隠ししてどこかの部屋に入れられても今どこにいるかこのスタジオに勤務するスタッフの方さえわからなそうです。

 

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その後すぐ製作さんたちが姿を現し、大急ぎで準備に取り掛かっていました。待合室では目の前に座られていた私より若いのではないかと思われる男性が、Sidesと思わしきものを手に握りしめて、ボクシングの動きをしながら小声でセリフを練習されていたので、ついつい見入ってしまいました。

 

ボクサーの役なのか、それとも自分のテンションを上げる為にその動きをしているのかは最後まで謎に包まれたままでしたが、手が小刻みに震えていらっしゃったので緊張しているのかなという印象を受けました。

 

コールバック初体験、その成果はいかほどに

 

迅速なサインインが功を奏したようで、一番最初に部屋の中へ呼ばれました。製作さんたちとは二度目の顔合わせでしたので挨拶は手短に済ませ、演技へと入りました。

 

演技自体は特に緊張する事もなく、リラックスして臨めたように思います。さらに前回よりも時間の余裕がありましたし、一つに集中できたので自信を持って演じる事ができました。

 
監督さんからも気に入っていただいてお褒めの言葉を頂いたのですが、お世辞でも嬉しいものです。とても光栄でした。結果がどうなるかはわかりませんが、悔いなくやり切れたので本当に満足できました。

 

ちなみに最後に一点だけ年齢に関して質問をされたのですが、思わず笑ってしまいました。この役自体が高校生の役だったものですから、実年齢を告げた際には製作さんたちが本当に驚かれていらっしゃいました。流石に10歳も若く見られてしまうと喜んでいいのか複雑な気分になります。

 

結果がダメでもコールバックが大事な理由

 

そもそもこちらのオーディションは、一度シーンを演じてそこで全てが判断されます。その一回のチャンスでダメなら、「OK!もう十分だよ」とすぐ帰らせることが非常に多いのです。その一回だけでその役者の力量がわわかるということなのでしょう。

 

私もアメリカ最初のオーディションで、思ったような演技ができず、もう一回やらせてくれるように懇願しましたが、ダメでした。
その一回で力を出せないようなのなら、それがそのときの私の実力に他ならなかったのです。時間は何より貴重なので、その判断がつけばオーディションはすぐ強制終了です。

 

比較的に日本のドラマや映画のオーディションでは途中でディレクシィンを頂いて何度か演じる機会を与えられていた印象なので、そこがアメリカで感じたギャップの一つでした。
役者に何より必要なのは、この一回に全てを出す力です。出し惜しみというか、ここで出ない力はそもそも実力では無いのです。

 

逆に少しでも「おっ」となれば、キャスティングディレクターさんなどからディレクションが入ります。「もう少し、トーンを落として」などの修正などですが、これはダメ出しではなく、むしろ期待の表れなのです。もっと、大事な時間を割いてまで私の演技を見たいわけですから、嬉しく無いはずがありません。ディレクションが入ることはとても良い兆候なのです。

 

そして、日を改めてまで「もう一度、見たい」というのがこのコールバックですので、これは役者にとっては大変名誉なのことなのです。結果、ダメであっても交通費と時間が無駄になったと考える役者は多くはありません。何せ、鍛錬を重ねていくとコールバックに呼ばれることが多くなり、成長を客観的にも感じることができるのですから。

 

役をゲットすることも大事ですが、まずは「もっと演技を見たい」と思わされるような役者になること。これがこのハリウッドではとても大事なことのように思います。
今回はその役にはまらなくても、もしかしたら気に入ってもらえて、別のプロジェクトに呼ばれることがあるかもしれません。次に繋がっていくのです。

 

初めてのコールバックでしたが、失敗などもなく非常に清々しい気分で終える事ができました。後は決まったという連絡が来てくれるのを心から祈りつつ待つばかりです。製作さん方、二度にわたる貴重な機会を本当にありがとうございました!

 

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