東京メトロと比較してしまうと相当な文化の違いを感じてしまうロサンゼルスの地下鉄「Metro(メトロ)」ですが、初めて乗車する観光客の方などは下調べなしに利用しようとすると、切符を購入する時点で間違いなく手間取ります。今回はロサンゼルス版スイカ「TAP Card(タップカード)」の購入方法を始め、ロサンゼルスの地下鉄事情についてご紹介いたします。
I’ve realized that there are crucial cultural differences regarding “Metro” between Japan and Los Angeles. I’ll tell you how different Metro in LA is from Tokyo Metro.
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自家用車が常識の世界、不便すぎる公共交通機関
ロサンゼルスは日本など比較対象にならないほど車社会ですので、車の所有割合は一家に一台どころか一人に一台に及ぶと言われています。そのためご想像にも容易いように、頻繁に深刻な渋滞が発生します。
アメリカには日本でいうところの高速道路のようなもので、無料で利用できる「Freeway(フリーウェイ)」というものが縦横無尽に張り巡らされており、それぞれに番号が振ってあるのですが、その中でも「405(フォーオーファイブ)」という道路は非常に悪名高く、早朝6時ごろの通勤時間帯に始まって夕方の帰宅ラッシュに至るまで毎日大量の車が行列をなしては停滞しているといった具合です。
ララランドをご覧になった方はお分かりいただけるかと思いますが、正にあのオープニングのような状況になります。日本より道路幅が広いとはいえ、それを上回る交通量がロサンゼルスに暮らす人々の大きな悩みの種の一つになっているようです。
そんな厄介な交通事情に頭を抱えている一方で、公共の交通機関は何か大きなイベントがある時などを除いて、日常的にあまり混雑する事はありません。通勤や通学の手段に地下鉄やバスを代用しようとする方が増えないのには、こちらにもまた重大な欠陥があるからに他なりません。
ロサンゼルスの公共の交通機関は以前に比べると少しは改善されてきたとは言え、まだまだ使い勝手が悪いというのが現状です。時間通りに運行しないのはもちろん、車内はあまり清潔ではありません。
トラブルがとにかく多い
ただ以前アメリカ人の方にロサンゼルスの地下鉄が汚いと話したところ、ニューヨークより断然きれいだと言われたので、あくまで日本人の感覚なのかもしれません。満員電車はもう二度と乗りたくありませんが、あの混み合っていない時の居心地の良い車内環境が懐かしいです。
サンタモニカなどの人気の観光地では割と重宝されていて有用な交通手段とされているようですが、治安の悪い地域であったり長距離移動するバスであったりすると、緊張が走るような場面に遭遇する事が珍しくありません。
乗客同士や運転手を巻き込んでの言い争いならまだしも、自転車(バスの先頭に付いている台に載せられます)を盗難しようとしたり走り出したバスの目の前に飛び出してきたりと尋常ではない行動を取る人もいるので、特に女性の一人乗りは注意が必要です。
Uber(ウーバー;アプリを通じて依頼するとタクシーのように一般の方が自家用車で迎えに来て目的地まで送ってくれるシステム)などの利用も考えた方が良さそうです。
どこまで行っても$1.75!とにかく安い運賃
そんなマイナスな印象ばかりの「Metro(メトロ)」ですが、車を持たない観光客などにとっては非常に有効な移動手段でもあります。それと言うのも、メトロはロサンゼルス全域を網羅しているにもかかわらず、基本となる運賃はどこまで行こうと片道たったの$1.75(執筆現在)で済んでしまうからです。
降車する場所が次の停留所だろうが終点だろうが、一律$1.75とは距離制料金システムに慣れ親しんでいる日本人の感覚で考えると実に不思議な感覚です。
ただ目的地によってはメトロ以外の会社が運営するバスに乗車する必要があったり、メトロの中でも「Metro Express(メトロエクスプレス)」という特急バスを利用しようとしたりすると運賃は少し変わってきますが、それでも$1上乗せしたくらいの料金で乗れるので総じて非常にお得であると言えます。
少し高いなと感じたのはメトロリンクという特急電車ですが、郊外の方まで出ようとしない限りは縁遠い存在で、私も一度しか利用した事がありません。
なお、この$1.75という金額には乗り換えも加味される為、最初に乗車してから二時間以内に次のバスやら地下鉄に利用しても、追加料金を支払う事はありません。
私の場合は自宅があるNorth Hollywoodからしばしばオーディションが多いハリウッドハイランド駅までバスと地下鉄を一本ずつ乗り継ぎ、およそ一時間半(距離にしますと東京-大久保間くらいでしょうか)ほどで到着するのですが、時間はかかるにせよ400円以下で往復できるのであればお財布には優しいと言えそうです。
ちなみに長期滞在の留学生であれば、学校からもらった書類で学割付きの特別タップカードが申請できるので、月額$43で乗り放題です。
事前にタップカードを購入するか、小銭を忘れずに
そして気になる運賃の支払い方ですが、バスでは現金でも支払う事ができるものの、地下鉄では「TAP Card(タップカード)」という機能が乗車目的だけに簡素化されたスイカのようなものの購入が必須となります。
こちらはメトロの地下鉄各駅やバス内、「Ralphs(ラルフス)」などの一部の大手スーパーなどで入手する事ができ、片道$1.75分もしくは必要な金額をまとめてチャージしたり、また最長で1カ月乗り放題となる定期券として購入したりする事もできます。
そしてこのカードを専用の機械にタッチさせれば、先程言及した時間制限付きの乗り換えも自動的に認識してくれます。逆に言うと現金で支払った場合は、乗り換えると新たに運賃を支払わねばなりません。
さらにバスで運賃を現金払いする場合は何とも不便な事にお釣りがもらえないので、事前に額面ちょうどで用意をしておかないと損をします。観光客にありがちですが、$20札しか所持していないような時などは本当に悲惨です。
カード自体の価格は$1ですので、どうせ一度しか使わないからと神経をすり減らしながら現金を使うよりは真っ先に賢くタップカードを購入された方が無難かもしれません。
簡単なようでややこしい!タップカードの買い方
地下鉄の駅構内で購入する際は、改札前にあるずらりと並ぶこうした券売機でタップカードを購入するのですが、ロサンゼルスではあらゆる路線の集合地点となっている「Union Station(ユニオンステーション)」駅を除き、地下鉄の駅構内に窓口のようなものが全くないので、気軽に券売機の利用方法を尋ねる事ができません。
たまに券売機付近で駅員さんの姿を見かける機会もない事はないですが、本当に稀です。
かつてハイウッドハイランド駅で一般人のおじさんが観光客らしき人に次々と手順を指南してくれているのを見かけた事がありますが、見知らぬ怪しげな人を頼ってしまうと教えてもらった後に金銭を請求される事もなきにしもあらずですので、なるべく素性の知れない方に救援を要請するのは避けた方が良いかもしれません。
そして、いざ車内に乗ることができてもまだ安心できません。冒険はまだ続きます。記事も次回に続きます。お付き合いいただき、ありがとうございました。