早いもので私がここロサンゼルスの地に降り立ってから約一年が経過し、当初は悲惨だった私の英語もかなりの成長を遂げる事ができました。今回は過ぎ去ってみればあっという間だったものの、それなりに苦悶と奮闘を繰り返しながら有意義に過ごせたと感じるこの一年間を、様々な側面から振り返ってみます。
About one year has passed since I came to LA. I’ll write about the enhancement of my English comprehension and what I learned over the past year.
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何にも縛られない、絶対的な開放感がそこにある
ロサンゼルスで一年を過ごしてみて強く感じるのは、日本との風土の違いでしょうか。
アメリカも日本も先進国である事に変わりないので、特に生活していく上で不便さを覚えた事などは一切ないのですが、それぞれの場を占める空気感であったり取り巻く人々の価値観であったりといった文化的側面は、常日頃から絶対的な違いをひしひしと感じています。
渡米する前の私は都市部に住んでいた事もあって、いつも何かに追われるような感覚が消えず、目的の明確化されない焦燥感に駆られていました。
私の生来の性格と置かれていた環境も大いに影響していたとは思いますが、当時は何をするにつけても視野が狭く物事の捉え方もどこか偏っており、どことなく窮屈な生き方をしていたように思います。
しかし、こちらに移ってからはカリフォルニアの自由な気風に触れ、それまで何か私の背中に圧し掛かっていた目に見えぬ重荷から解放されたと言うか、様々な視点を持ってあらゆる事柄に向き合えるようになりました。
世間一般でよく言われている事ですが、海外に出る事で考え方や価値観が広がるという正にあの現象が起きたような感覚です。
また、私はこちらに観光目的で訪れたわけではないので、それほど頻繁にあちらこちらを渡り歩いたわけではありませんが、それでも一年という期間は私にこのロサンゼルスという地を知らしめるには十分な時間だったように思います。
日本とは異なる様相の雄大な自然に囲まれながら、たくさんの素敵な方々と出会えたばかりか縁にも恵まれて、多くの貴重かつ素晴らしい体験をさせていただく事ができました。
また、生活スタイルが変化した事もあって日本にいた頃よりも食生活を楽しむ事ができるようになりました。
もちろんこちらでの生活が起因して被ったマイナス面は全くなかったわけではありませんが、そうした不利点はそれを上回る大多数の利点によって圧倒的に凌駕されており、この渡米の決断に後悔を感じた事はまるでありません。
アメリカに来れた事を本当に良かったと心から思っています。
米国で挑むオーディション、新しい体験に感化される日々
役者活動を目的に渡米した私ですが、まずは言語の壁をある程度まで克服し、さらに慣れない環境へ順応する必要があった為、実際にオーディションに挑戦するなど本格的に動き始めたのは去年の秋頃からだったでしょうか。
それまでは英語の勉強をしたり、芝居のワークショップに参加したりなどして時間を費やしていました。
こちらロサンゼルスには映画の街ハリウッドが位置している事もあり、実に多くのアクティングスタジオがありますし、プログラムも授業料も場所により様々ですので選択肢に困る事は全くありません。
むしろどこを選べば良いのかで悩んでしまうくらい、芝居を学べる場所があちらこちらに設けられています。また私の経験からしてみると、ただ単に英語を勉強するよりも何か興味のある事柄を学ぶ上で英語を手段として活用した方が、英会話は抜群に上達します。
そういった意味でも、こちらで役者を目指されるのであれば一度はアクティングスタジオに通ってみる事をお勧めします。
ただスタジオによっては提供されているレッスンがウェブサイトから判断するだけでは、自分に必要なものと実際は異なるということも多いですので、実際に一度体験レッスンをされることを強くお勧めいたします。大抵の場所では事前に体験レッスン、もしくは見学で内容、雰囲気を自身の目で見ることができますよ。
そして英会話にもそれなりに上達した頃、オーディション情報が掲載されている専用ウェブサイトを通じて様々なプロジェクトへ応募を始めたわけですが、結構早々と最初のオーディションに呼ばれたように思います。
もちろんギャラなしの学生映画に狙いを絞っていたという事も大いに関係していたと思いますが、駆け出しの初心者にもかかわらず、頻繁に声をかけていただけたのはとても喜ばしかったですし、何よりやりがいを感じました。
また初体験となるこちらでのオーディションの貴重な実戦経験の場にもなったように思います。
参照:UCLA Thesis Short / 初めてのフィルム映画に出演しました
そうして幾つものオーディションに挑んでは次々と振るい落とされていったわけですが、その中でもなんとか数本の短編映画の出演を果たせた事は自分でも本当に誇らしく思っています。
残念ながら、まだセリフがたくさんある大役を勝ち取れた事があるわけではないですが、それでも回数を重ねるにつれて少しずつ進歩している事は確かなので、それは素直に自分の成長を認めてあげたいと思います。
また、プロジェクトによって撮影現場の雰囲気はもちろん手法が全く異なる場合もあるので、完全に慣れるにはまだ程遠い状態ですが、毎回の撮影体験を学びの場とし、役者として着実に歩みを進めている自分自身をはっきりと感じる事ができているのは確かです。スタートを切ったばかりながら、この一年で経験し得たものは非常に大きかったように思います。
伝わらなければ意味がない、役者に必要な英語力とは
ロサンゼルスに移り住んだ当初、私の英語力は正に典型的な頭でっかち日本人のレベルでした。大学で英文学を専攻していた事が功を奏し、語彙力に文法そして長文読解力だけはずば抜けていましたが、肝心の英会話に関してはてんで駄目でした。
難解な記述は即座に理解できるのに、ネイティブが尋ねてくる簡単な問いかけさえ聞き取れなければ、応対するにもスムーズに言葉が出て来ず、いつももどかしさを感じていました。私の英語力は学習科目としては優秀だったかと思いますが、実践スキルとしては底辺に位置していたと言っても過言ではないでしょう。
これは役者としては致命的と言って他なりませんでした。日本でもそうですが、役者に最も必要なのは伝える力であり、その重要な手段である言葉という武器が使いこなせない状態で観客を惹きつける事などできやしません。
正直に言って、当初私は感情的に台詞を読むほどネイティブには何を言っているのか全く理解できないほど発音が汚かったものでした。
普通にネイティブと会話をする上では、発音やイントネーションはそれほど障害にはなりませんが、これが演技となると話がまるっきり異なります。
セリフに思いを乗せるほど滑舌は悪くなり、伝わらなってしまうので発音練習は今でも私にとっても重大な課題です。オーディションでの自己紹介や質疑応答などはたどたどしい英語でもなんとかコミュニケーションがとれますが、実際の演技は本当に言語の壁を身に染みて感じています。
どれくらいの英語力が必要?実際に現在の実力を動画で見てみる
少しお見苦しいですが、こちらは最近撮影したモノローグになります。
一年過ごしてみて、リスニング力やスピーキング力がだいぶ向上し、より円滑にネイティブの方々と意思疎通が図れるようになりましたし、発音も以前より上達を感じるようになりました。
しかし、役者としては本当にまだまだだなと反省する毎日です。
このようにまだ「R」と「L」が連なる単語や一文ごとのリズムがとことん苦手な私ですが、この明らかにネイティブではない事がバレバレな英語力でも、正直に言って役をもらう事は不可能ではありません。
参照:CryptTV / 禁断、ついにあの出演ホラー映画公開!!
ただ作品のジャンルや役柄は限られてしまいます。当然シリアスな内容だったり、完全にアメリカ育ちの設定のキャラクターを演じる事は極めて困難ですが、コメディですとかアジア人の役などですと、稀ではありますが逆にこの日本人特有の訛りが幸いする事もあります。
しかし、それではある一定の役柄しか演じる事ができませんしチャンスも狭まりますので、本気でこちらで役者をやりたいのであれば集中的に発音を特訓し、ネイティブに近いレベルを目指して努力する必要があります。
今後の見通しですが、先にも述べたようにまずこの発音の改善は私にとって長期的な課題です。これは本当にすぐに直るものではないので、辛抱強い練習が必要ではありますが、これからも負けずに頑張って取り組んでいかなければいけません。
ただ、日本の役者時代から長セリフを短時間で覚えることが得意でしたが、それがここアメリカでも、英文であっても機能していることが自分以上に周りの人が驚いてくれるので、そこは素直に自分自身を褒めてあげたいです。
やはり、マイナスの部分だけ見つめていても気落ちするだけで、一向に成長を感じられなくなる要因にもなりますので、何か自分の良いところを見つけてあげることも、挑戦が続く毎日の中でモチベーションを保つきっかけなのではないでしょうか。
そして、大きな目標としては引き続き、学生の小さなプロジェクトも参加しつつ、より大きなプロダクションにも積極的に挑戦し、ちゃんとセリフのある役をもらえるようになるまで精進する事です。
これからも諦めずオーディションに敗れても落ち込む事無く、挑戦し続けたいと思いますので、温かく見守っていただけたら幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。